雪に塩
「はーい!みんなー、おまちどおさま~」



今日の恋粕は、カレーの良い匂いで溢れている。



「うわー、すごーいっ!」


「うっまそー」



「どうしたんだよ、ちょー豪華じゃん」



見熊と犬申、炒市が驚くのも無理はない。


鞠畭から出されたカレーは、カツやら何やらでいつもより豪勢だった。



「あたしから苦学生達への進級祝いよ。有難くお食べなさい。」



炒市達赤点組も無事進級を果たしたので、鞠畭は頑張ってみたのだ。



「ははぁー」


「大袈裟ね。さっ!冷めない内に食べなさい。」



鞠畭を神様のように称え頭を下げる邃巷に、鞠畭は苦笑する。



「おいひぃー」


「あたしらには出せない味ね。」


「亀の甲より年の功ってことかしら。」



莢啝はうっとり舌鼓を打ち、蕎寡と蛉葭はいつもの鞠畭の味ながら感激する。



「(杠、今頃は藺媒焚さんとデートか…?邪魔ならねぇように、進級のことは後でメールでもしとくか。)」



カレーにパクつきながら炒市は思い出す。


付き合うことになったと報告された時の、杠と靱の嬉しそうな顔を。



カレーがより一層、美味しく感じられたのだった。
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