雪に塩
「竺牽捏さん、今日もありがとうございました。」



炒市達を見送った後、杠は竺牽捏の元へと挨拶にやって来た。



「いやいや。ね、さっきのあれって、運命…だっけ。」



「はい。あまり似つかわしくない曲ですが、気を引くのには良いかと思って……」


「ぜっんぜん大丈夫!むしろ助かったから!さすがユーハちゃん!」



竺牽捏は親指を立て、笑顔でグーのポーズをする。



「こちらこそ、そう言ってもらえると助かります。…靱さんまだいますか?」



「ああ、いるよ。多分裏口。連れて来よっか?」


「いえ、行けるので大丈夫です。」



杠は裏口へと向かう。



「靱さん。」


「ユーハちゃん。…こんな所にどうした?」



裏口でゴミ処理をしていた藺媒焚靱(イバタ ジン)は、酔っぱらいを杠から引き離したボーイである。



「さっきは助けてくれてありがとう。お礼、まだ言って無かったから。」


「あ、いや…礼を言われるほどじゃ……というか、礼なら俺の方が言わなきゃならない。結局止めきること出来なくて……。こっちこそ助かった。」



夜の世界には珍しく靱は硬派な性格をしていて、竺牽捏とは真逆だ。
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