心外だな-だって世界はこんなにも-





「じゃあ、そのためにも過去を取り戻しに行こうぜ?」



俺は手を差し伸べた。頼りない手かもしれない。



「うん!」



でも、そんな頼りない手を祭は掴んでくれたことに、俺は嬉しかった。



一階の休憩スペースには、幸い、人が少なかった。おじいさんがリモコンを持ってテレビを観ている他は、お見舞いに来たらしい小学生の兄弟が二人並んで本を読んでいるだけだった。



しかし、時計は柱のかなり上の方に掛けられていて、背伸びをしても時計に触ることすらできない。



「どうする? 椅子使う?」



「それもいいけど……あ、そうだ! 聡くん、肩車してくれない?」




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