心外だな-だって世界はこんなにも-
看護婦に薬を手渡され、俺はそれを飲んだ。
「それじゃあ、ついでに検温と血圧測ってもいいですか?」
俺が返事をする前から看護婦は、血圧測定器を腕に巻き始めた。
「あの、看護婦さん。」
「んー?」
「祭の病気って、一体何なんですか?」
看護婦は一瞬、作業の手を止めた。
「前田祭ちゃんのこと?」横になったまま頷いた。
「ごめんね。他の患者さんの情報は、話しちゃいけないの。」
「そうですよね……。」
わかっていたことだった。