心外だな-だって世界はこんなにも-
「大体、こんなところで本読むほうがおかしくない? 部屋で読めばいいじゃん!」
何とも自分勝手な反論に、俺はいよいよ腹が立ち、本を閉じた。またしおりを挟んでいなかったが、今度はページ数を覚えている。93ページ。
「どこで読もうが俺の勝手だろ!」
そう抗議したが、彼女は、無視して、俺の横に無理矢理スペースを作って座った。
「おい!」
「いいじゃん、減るもんじゃないし。それに、ここは公共の場。そうでしょ?」
正論がブーメランのように跳ね返ってきた。多少不本意だったが、渋々、受け入れざるを得なかった。