心外だな-だって世界はこんなにも-
ACT3 素敵なエゴ
◆
家からほとんど出ない私でも、この日は必ず外に出る。
高校卒業と同時に、お母さんが「必要だから。」と言って、結局必要のなかった黒のリクルートスーツを着て、バスに乗り、近くにあるスーパーで菊の花を買って向かう場所。
そこには、すでに先客があって、その人に見覚えはなかったが、知っている人。というか、多分この人だろうなという人がいた。
「あの……恭平さん……ですよね?」
そう声をかけると、男の人は振り返り、私を見るなり首を傾げた。
「どちらさん……ですか?」
「あの……藤代美紀と申します。」
私の名前を訊くと、男の人は大きく何度も頷いた。
「キミが美紀ちゃんだったのか!」
私は深々と頭を下げた。
家からほとんど出ない私でも、この日は必ず外に出る。
高校卒業と同時に、お母さんが「必要だから。」と言って、結局必要のなかった黒のリクルートスーツを着て、バスに乗り、近くにあるスーパーで菊の花を買って向かう場所。
そこには、すでに先客があって、その人に見覚えはなかったが、知っている人。というか、多分この人だろうなという人がいた。
「あの……恭平さん……ですよね?」
そう声をかけると、男の人は振り返り、私を見るなり首を傾げた。
「どちらさん……ですか?」
「あの……藤代美紀と申します。」
私の名前を訊くと、男の人は大きく何度も頷いた。
「キミが美紀ちゃんだったのか!」
私は深々と頭を下げた。