心外だな-だって世界はこんなにも-
「おーい、キミ。」
俺の問いかけに彼女はいかにもだるそうに首を傾げた。
「名前、なんて言うんだ?」
次の問いかけに予想をしていなかったのか、呆気にとられたのか、彼女はその場にピンクのスマホをぱたりと落とした。
「おいおい、スマホ落とすなんて危ないだろ? 画面割れたらどうするんだ?」
彼女の落としたスマホを手に取り、画面が割れていないことを確認して、確認ついでに通話履歴を見てみた。
「お前の通話履歴、『お父さん』ばっかじゃねえか。」
「わっ! こら、勝手に見ないでよ!」
彼女は俺からスマホを取り返そうとしたが、フェイントをかけてそれを阻んだ。
「待てって!」
俺は、フェイントをかけながら彼女のスマホを操作した。
そして、操作し終わると、彼女に返した。
「ほら、それ俺の番号な。」