恋しても 될까요?
放課後。
今日は撮影もない。何もない。
伶奈を誘ってどこかに行こうとしたが伶奈は彼氏とデートらしい。彼氏とデートって言われて嬉しくなる気持ちが羨ましい。
昇降口に近づくと校門の方からざわめきが聞こえた。何かあったのかな??
私は女ばかりの人だかりの間から覗いてみた。
ん?
あれ?昨日どこかで見たことのあるような顔が一つ。バイクにもたれかけている。
あの整ったお顔は………
銀斗しかいない。
でもなんで?なんで桃川に?友達でもいるのかな?あんなヤンキーが進学校の友達の迎えなんて来る?
私はこの人だかりもあるし見つかりたくなかったため、人だかりの中を抜けていくことにした。それなら見つからないだろう。
しかし。私の考えは甘かった。
人だかりの中を…と一歩踏み出した瞬間彼が私を呼んだ。確かに私の名前を。低く掠れた声でハッキリと。
「リョク。」
もっと聞き間違えしやすいありきたりな名前が良かったと人生で初めて思った。
馬鹿な私は銀斗の方に視線を向けてしまい目を合わせてしまった。
「迎えに来た。行くぞ。」
「どこに?」
「まあそこらへん。早く乗れ。」
会話をしている私達を周りの女子はじっと見つめていた。やってしまった。私はこれから銀斗ファンの大敵だ。
でもはやくこの場を離れたくて私はバイクに跨った。銀斗も同じように跨り、エンジンを鳴らした。こんなデカイ音出るんだ。なんかすごい。