月の光、太陽の影
先生が書いたのは『大夫跡 念流吾乎 如此許 三礼二見津礼 片念男責』


「なんですか?これ。読めない…」

「大伴家持の和歌だ。」


とても達筆だけど、どこかか弱い文字に自然と惹かれた

今までに見たことのない先生の字だ。


「これの訳は?」

「たくましい男だと自負していたが こんなにも恋やつれするほどの 片思いをしている」
< 89 / 145 >

この作品をシェア

pagetop