明日の空はどんな色だろう。

昔から

ミーンミーン…

蝉が鳴き始めた夏。
まだ初夏だというのに私の首に汗が流れた。

「あっつい…」

家から学校までの長い距離を歩く。
徒歩1時間ほどで着くのだけれど、まだ出発して数分しか経ってない私に、そのことは言わないでいただきたい…

「うわー、やだ。かげろうが見える」

暑さの象徴とも言えるかげろう。
それを見て、気持ちが憂鬱になる。

「引っ越ししてよぉ…」

高校の中でも、こんなに長距離を歩いている生徒なんていない。
だから、学校に着いたとき、汗ダラダラになっているのは私だけ。

自分たちの愛の巣♡とか言って、なかなか引っ越ししてくれないバカップルの両親を恨む。
暑さでぼーっとする頭でそう思っていると。

「あれ、莉音じゃん!おはよー!」
< 2 / 25 >

この作品をシェア

pagetop