Last Prisoner 教師を愛した私
と繰り返した。

先生…!

まさか私の携帯を拾ったのが先生なんて。

私は慌てて答えた。

「あの、その携帯電話、私のなんです」

「その声は神宮寺だな?お前、携帯の裏にでも名前書いとけ」

先生は笑いながら言った。

すごい、一回私の声を聞いただけで私だってわかってくれた…。

そんなことが嬉しくも照れくさくもあって。

「お前が川崎と一緒に帰った後に落ちてたからどっちかのだろうとは思ってたけど」

「せんせい、何で電話の声、私だ、ってわかったの?」

「そら生徒の声ぐらいわかるって」

なーんだ、がっかり。

私が、先生の一番だから、じゃないんだね。

プチショック。

「で、どうする。携帯ないと困るだろ?」

「うん」

「じゃあ俺車だし届けてやるからどこにいるんだ?」

えっ、届けてくれるの?先生大好き!

「今ね、区立体育館の脇のコンビニの公衆電話の前」

「よっしゃ、わかった。そこで大人しく待ってろよ」

「うん」

先生は電話を切る。

どき、どき、どき。

どく、どく、どく。

心臓と血管が脈うってる。

もうすぐ先生が、私のために、携帯を届けにきてくれる。

夢、見てるみたい…。
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