Last Prisoner 教師を愛した私
「うるせぇなぁ、口塞いじまおう」

とたっちゃんが言いかけたそのときだった。

「お前ら、何やってんだよっ!!」

聞き覚えのある、懐かしい声。

ほんの数分前に電話越しに話した声。

私の大好きな声。


先生…!


お兄さんたちは先生の言葉に気をとられていた。
その手元が緩んだ隙に私は男を蹴飛ばし、先生の後ろに隠れる。

「先生、来てくれたんだ…」

「ごめんな、ちょっと遅くなった」

いいよ、ちゃんと来てくれたんだもん。

悪いなんていったら罰が当たっちゃうよ。


「んだよ、てめぇ。すかしたスーツなんか着やがって」

男の一人がすごむ。

先生はひるまない。

「うるせーんだよ、人の生徒に手、出しときながら開き直ってんじゃねぇよ」

先生のいつもの話し方からは想像もつかない言葉遣い。

不謹慎ながらも、そんな先生もかっこいいと思ってしまった私。

「んだぁ?お前教師かよ」

先生は答えずに、

「神宮寺、俺の車に乗っとけ」

「えっ、先生は?」

先生はにこっと笑うと、
「すぐ行くから」

きゅーん。

また胸が高鳴る。

先生その笑顔、やばいです。

ますます好きになっちゃうよ…。
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