Last Prisoner 教師を愛した私
と思った。

後ろのほうから更にパタパタという音がする。

小さな女の子がかけてきた。

奥さんの脚にしがみつくと、不思議そうに私を見上げた。

「ほら、香澄。パパとお客さんにお帰りなさいは?」

香澄ちゃんはもじもじして、

「おかえりぃー」


私が着替えている間に先生はタバコを吸ってくる、と出て行った。

「こんなことになっちゃって、ショックだと思うけど、辛かったらちゃんと主人なり家族なりに相談してね」

奥さんは優しかった。

こんなに優しい人だもん、先生が好きになるのも当然だよ。

敗北感にさいなまれる。
私はこんなに人に優しくなんてできないもん。

すぐ嫉妬しちゃうし、ふくれっつらになる。

「ご飯、食べて行ってね」

笑顔で言ってくれた。

先生も戻ってきて、4人でテーブルを囲む。

かぼちゃのグラタンにシーザーサラダ、なぜかたこ焼きもあった。

学校の外で見る先生はTシャツにジーパンというラフな恰好だったけれど、とてもかっこよかった。

先生、やっぱりかっこいいね。

ますます好きになりそうで、苦しいよ…。


食事を終えて、先生は車で家まで送ってくれる、と言った。
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