Last Prisoner 教師を愛した私
私は助手席で黙って座っていた。

「先生?」

「ん」

「家族のこと、大切にしてるんだね」

すると一瞬の沈黙の後、
「…ああ、大切に思ってるよ」

ああ、なんてバカなことを聞いてしまったんだろう?

先生の本当の気持ち。

家族を愛してる。

私は先生の特別にはなれないのかな?

こんなにこんなに好きなのに、気持ち、伝えられないんだね…。


私の家の前に着くと、先生は、

「今日のことだけど」

私はうなずく。

「心療内科かどこかでカウンセリングを受けるといいと思う。今は多感な時期だし、心の傷になるのは辛いだろうから」

「…はい」

先生は優しいね。

どこまでも、どこまでも優しいんだね。

でもそれはきっと先生として、だからなんだよね?

先生の車を見送った後、私はしゃがみこんで泣いた。

先生、大好きだよ…。

私、すごく切ないよ…。
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