Last Prisoner 教師を愛した私
小さなお堂の前に気づくとしゃがみこんでいた。
しゃくりあげながら私は、

「先生、大好きだよぅ…」

と繰り返しつぶやいた。
涙が透明なガラス球のように目から溢れ出す。

あの時、先生が背中で言った言葉が頭の中でリフレインしていた。


「ごめんな、誤解させるような態度をとったりして」


嫌だ、謝らないでよ。

先生は悪くないじゃん。
私はただ好きだって言っただけ。

そばにいたい、って言っただけ。

それを受け入れてもらえなかっただけ。

だから、先生は悪くないんだ。


夏の風は刃のように私の体に吹きつけた。

もう、終わってしまった。

私はいつまでもお堂の前の階段でしゃがみこんで泣いた。
< 40 / 96 >

この作品をシェア

pagetop