Last Prisoner 教師を愛した私
そんな、盛岡先生が好きなわけ、ないじゃん。

私が好きなのは、新村先生だけ。

他の人なんて考えたこともないよ。

「失恋の痛みには新しい恋をすることだね」

マサミは意味ありげに笑うと、トイレ行ってくる、と席を立った。


はぁ…なんだかめんどくさいことになったな。

マサミ、勘違いしすぎ。
でも、言えないよね。

先生に好きだ、って言ったことも、振られたことも。

頭をくしゃくしゃに撫でてくれたり。

病院までとんできてくれたり。

先生の車に乗せてもらったり。

そういう自分を『特別』かな、って思っちゃうのは、自信過剰?

ホームルームが始まっても、先生の顔が見られなかった。

出欠をとるのにも、声が震えた。

先生は何事もなかったよう。

先生はやっぱり大人なんだね。

私なんか、まだまだ子供で。

先生の全てを自分に対すれば好意だなんて思ったりして。

恥ずかしいよ。

でもね、先生。

私、昨日一生懸命考えたんだ。

先生のそばにずっとずっといたいから。

私は先生の『特別』になってみせる。

それくらい、いいよね?

ホームルームが終わって先生が教室を出た。

私はイスから立ち上がり後を追う。
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