Last Prisoner 教師を愛した私

S6 定期考査

2週間、寝る間も惜しんで勉強した。

特に試験1週間前は連日徹夜。

体に疲れは感じなかった。

これも愛の力?なんて思ったりして。


学校に行くと、教室中まるで暗号のような言葉が舞っていた。

「刺胞動物の代表例を3つあげよ」

「クラゲ、ヒドラ、イソギンチャク」

「茜の葉から得られる青色の染料の成分を何というか」

「アリザリン」

みんな本気印だった。

私も負けじと英単語帳を開く。

とりあえず、先生の持っている英語だけでも90点を取りたい。

私は静かにページをめくった。


テスト中、先生が解説に来た。

「えー、質問がある人は手を挙げて」

マサミがまっすぐに手を挙げる。

「川崎」

「§2−3の答えがわかりません」

あまりにマサミが真剣に聞くので、教室中大爆笑。

先生は笑いながら困ったように眉根を寄せ、

「あとで、職員室な」

と言って出て行った。

先生、私、頑張るから。
あの約束、覚えているよね?


テストは4日間にわたって行われた。

出来は、なかなかだと思う。

返却まであと4日。


テスト返却日が来た。

呼び出しがなかった、ということは赤点は免れたということだろう。
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