Last Prisoner 教師を愛した私
「舞、この後、仕事終わるまで近くのコインパーキングに車止めてるから」

どきどき。

私はこくっと頭を縦に振る。

それが精一杯。

先生は何事もなかったように、ご馳走さま、と店を出て行った。


仕事が終わると、私は急いでコインパークに向かった。

夏の夜とはいえ、もう薄暗くなっている。

先生、待っててくれてるんだ。

それがすごく幸せで。

一生分の幸せを使っているような気がして、すごく怖い気もした。

でも嬉しさのほうが勝っているのが事実。

私はサンダルの足がもつれそうになりながら、道路を走った。


コインパークの看板が見えてきた。

紺色のスポーツタイプの車。

先生の車だ。

私は先生が中にいるか確かめた。

窓から中を覗く。

いた!

先生はメガネをしたまま、眠っているみたいだった。

コンコン、とガラスを叩く。

うっすら先生の目が開いて、私を見た。

きゅーん、って胸がなった。

だってあまりに子供みたいな無邪気な笑顔がかわいくて。

先生の笑顔は魔法の薬。
見るだけで私を幸せな気分にしてくれる。


私は車のドアを開け、助手席に座り込む。

デニムのミニスカートと赤のタンクトップ。
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