Last Prisoner 教師を愛した私
香澄ちゃんは、望まれて生まれてきたんじゃないの?

そんなの、香澄ちゃんがかわいそうだよ。

「先生、香澄ちゃんのこと、愛してないの?」

「愛してるよ。可愛いと思う。でも、もしかしたら、自分の子供じゃないかもしれない、そう思うと急に怖くなる」

「どうして」

「あいつが、もし本当のことを知って、傷つくんじゃないかと思うと、俺、苦しいんだ」

先生…。

そんな苦しい思いを抱えていたんだね。

いっつも先生は笑っていてくれたから、気づかなかったよ。

ごめんね、気づいてあげられなくて。

ごめんね、ごめんね。

私の目から涙が溢れてきた。

先生、苦しかったね。

私、先生を支えていけるかな。

「先生」

先生は涙を拭いながら、
「ん」

「私、先生を支えていきたい。先生のそばにいたいよ…」

先生は私を抱きしめて言ったんだ。


ありがとう、舞…。


って消え入りそうな声で。

その声がすごく悲しかった。
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