Last Prisoner 教師を愛した私
先生のほうを見ると、にっこり笑っている。


ありがとう。


先生の目はそう言っている気がした。

私は先生の手を胸に抱いたまま気づくと眠ってしまっていた。


暗い、夜の高速道路を30分ほど走っただろうか。
先生は高速から降りる、と言ってインターチェンジで道路を降りた。

そこは畑らしいや田んぼの広がる町で、私が育った街とのギャップにとても驚いた。

「先生、私こんなにたくさんの田んぼとか畑なんて見たことない」

少し興奮気味に話すと、先生はハハハって笑った。

「ここら辺は俺が一人になりたいときによく来るんだ」

「そうなんだ」

「ここをもうちょっと外れまで行ってみよう」

「うん」

先生は山道をくねくねと走り、車は大きく左右に揺れた。

『展望台まで10メートル』

看板が出ていた。

私と先生はその山道を車で登り、展望台を目指した。


展望台につくと、人がたくさんいた。

「あれれ、いつもはあんまり人いないんだけどなぁ」

先生が残念そうにつぶやく。

大勢いる人たちはみんな天体望遠鏡を三脚の上に載せて、空を見上げていた。

「なんだろう、今日は何かあるのかな」
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