Last Prisoner 教師を愛した私
私がつぶやくと、先生は携帯電話を取り出した。
なにやら操作している様子。

「ああ、これだ」

先生は一人で納得したような声を上げた。

「どうしたの、先生」

「なんか彗星が見られるみたい」

「彗星?」

「ああ、ほうき星だよ」
「それが、今日見られるの?!」

「ああ」

私はきゃーっと嬉しい悲鳴をあげた。

そして先生に飛びつき、
「お願い事、しなくちゃ」

「そうだな、何を願うの?」

そんなの、決まってるじゃない。

ずっと、ずっと先生のそばにいたい。

ただ、それだけだよ。

「私は秘密。先生は?」
「俺?俺は…」

先生はそういうと、私をいきなり抱き上げて、ぐるっとまわすと、

「舞がずっとそばにいてくれますように」

私たちは額を合わせながら笑った。

おんなじ願い事なんだね。

なんだか嬉しい。


「おー!!」

私たちの背中で歓声が聞こえた。

思わず振り返る。

空をいくつにも分けるように星が落ちていく。

綺麗な線を保ったまま。
「すごい…」

私は何も言葉にならなかった。

星屑がたくさん降ってくる。

大地にひきつけられるように。

「ああ、すごいな」
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