Last Prisoner 教師を愛した私

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家の前まで先生は車で送ってくれた。

家にはまだ電気がついていなかった。

お母さん、今日も飲み屋さんで仕事なんだ…。

母親の体調を案じてしまう。

そんな私の表情を読み取ったのか、先生は、

「そういや、舞のお母さん、働いてるんだよな」
「うん、私のうち、お父さん、いないから」

「そうだったな、ごめん」

「お母さんが心配なんだ。私を大学に行かせたいからって、飲み屋さんで働いてて」

「そうか…お母さん、大切にしないとな」

「うん」

「俺は親に反抗ばかりしてて、親のありがたみを知ったときにはもう手遅れ」

先生は自嘲気味に薄く笑った。

でも目は悲しそうだった。

「先生、お母さん、いないの?」

「ああ、高校のときに病気で、な」

「…そうなんだ」

私はお父さんのことを思い出していた。

私は、私は…。

言いそうになって慌ててやめる。

これは私が一生背負っていかなくてはならない、十字架なんだ。

誰にも、言えない。

たとえ、先生を愛していても。


「そうだ、これ」

先生は車の後部座席から綺麗にラッピングされた箱を取り出した。

白い包装紙に、朱色のリボンがかかっている。
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