Last Prisoner 教師を愛した私
S4 PHS
家の前まで先生は車で送ってくれた。
家にはまだ電気がついていなかった。
お母さん、今日も飲み屋さんで仕事なんだ…。
母親の体調を案じてしまう。
そんな私の表情を読み取ったのか、先生は、
「そういや、舞のお母さん、働いてるんだよな」
「うん、私のうち、お父さん、いないから」
「そうだったな、ごめん」
「お母さんが心配なんだ。私を大学に行かせたいからって、飲み屋さんで働いてて」
「そうか…お母さん、大切にしないとな」
「うん」
「俺は親に反抗ばかりしてて、親のありがたみを知ったときにはもう手遅れ」
先生は自嘲気味に薄く笑った。
でも目は悲しそうだった。
「先生、お母さん、いないの?」
「ああ、高校のときに病気で、な」
「…そうなんだ」
私はお父さんのことを思い出していた。
私は、私は…。
言いそうになって慌ててやめる。
これは私が一生背負っていかなくてはならない、十字架なんだ。
誰にも、言えない。
たとえ、先生を愛していても。
「そうだ、これ」
先生は車の後部座席から綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
白い包装紙に、朱色のリボンがかかっている。
家にはまだ電気がついていなかった。
お母さん、今日も飲み屋さんで仕事なんだ…。
母親の体調を案じてしまう。
そんな私の表情を読み取ったのか、先生は、
「そういや、舞のお母さん、働いてるんだよな」
「うん、私のうち、お父さん、いないから」
「そうだったな、ごめん」
「お母さんが心配なんだ。私を大学に行かせたいからって、飲み屋さんで働いてて」
「そうか…お母さん、大切にしないとな」
「うん」
「俺は親に反抗ばかりしてて、親のありがたみを知ったときにはもう手遅れ」
先生は自嘲気味に薄く笑った。
でも目は悲しそうだった。
「先生、お母さん、いないの?」
「ああ、高校のときに病気で、な」
「…そうなんだ」
私はお父さんのことを思い出していた。
私は、私は…。
言いそうになって慌ててやめる。
これは私が一生背負っていかなくてはならない、十字架なんだ。
誰にも、言えない。
たとえ、先生を愛していても。
「そうだ、これ」
先生は車の後部座席から綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
白い包装紙に、朱色のリボンがかかっている。