Last Prisoner 教師を愛した私
涙がぽろぽろと頬を零れ落ちる。

枕に水玉の染みができた。

先生からもらったPHSを握りしめながら、孤独に耐えていた。


うとうとしていたみたいで、私は手の中でバイブするPHSに驚いて起きた。

当たり前だけれど、ウィンドウには先生の名前。
私は慌てて電話に出た。
「もしもし、先生?」

私が問いかけると、先生は、

「舞、夜遅くごめんな。なんだか急に舞が心配になって」

「えっ?」

「なんか虫の知らせ、って言うのかな。お前が泣いてるような気がしたんだ」

「せんせぃ…」

「大丈夫か?今から行こうか?」

私は言葉を発せず頭をひたすら縦に振り続けた。
その振動が伝わったのか、先生は、

「今から車出すから。もう少し待ってて」

そう先生が言うと、電話が切れた。


先生はすごいね。

私が泣いているのがちゃんと伝わるんだ。

それでも、いいのかな。
奥さんと香澄ちゃんは、不審に思わないかな。

嬉しさと不安の両方がない交ぜになった気持ちだった。


ピロピロピロ〜♪

30分ほどすると、またPHSが鳴った。

「もしもし」

「あ、舞?今舞の家の前にいる」

「もう、ついたの?」

「いいから窓の外見てごらん」
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