Last Prisoner 教師を愛した私
先生の声があまりに優しいから、私の涙が復活してしまった。

涙を拭いながら、窓の外を見る。

シューッ!!

何かが打ちあがる音がした。

暗闇に目を凝らす。

パーン!!

七色の光がはじけた。

えっ、今のって…花火?
私の家の前の空き地には、先生の車が止まっていて。

先生は次々に花火を打ち上げていく。

シュッ、パーン。

シュッ、パパパーン!!
私の目の前に幻想的な光が広がる。

私はさっきまでの涙も忘れて花火に見入っていた。

時計を見ると、夜、12時を過ぎたところ。

先生、わざわざ花火持ってきてくれたんだね。

私は窓から外にいる先生に向かって、

「先生!!ありがとう!!今からそっち、行ってもいい?」

私の声が静寂を破る。

でももうお構いなしだった。

先生は手を広げて、待ってくれている。


おいで、舞。


口がそう動いていた。

私はうなずくと、Tシャツにレギンスというパジャマ代わりの恰好で、階段を駆け下りた。

お母さんは居間でテーブルに伏せって眠っている。

その後ろを駆け抜けて、玄関へ。

サンダルを突っかけ、先生のもとへ。
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