Last Prisoner 教師を愛した私
「え、知らない。どんなの」

「ほら英語の新村先生いるでしょ。あの先生が若い女の子と車でキスしてるところを見た、っていう噂が流れてるんだってば」

「あー、そういえば聞いた聞いた。何気にショックだったもんね、私」

「ねー。しかもその女の子、ウチの生徒、って言われてるんだよ」

「マジで?!だって新村先生、奥さんと子供がいなかったっけ」

「いるいる」

「うわぁ、不倫しちゃってるわけ」

「なんか不潔だよね、かっこいい顔してるけど」
「確かに。顔のいい男は信用できないよね」

「あはは。それ言えてる」

私は顔から血の気が引いていくのを感じた。

先生のほうを見る。

案外冷静な顔をしていた。

そして唇の前に人差し指を立てると、廊下を指差した。

私は意味がわからず、首をかしげた。

「でもさ、ある意味相手の子も無神経だよね」

「うんうん。まぁ奥さんと子供がいても、好きになるのは確かに仕方ないけど、理性があればキスしたりしないでしょ」

「だよね」

「不倫かぁ。なんか泥沼だよね」

廊下を歩いている生徒は声を上げて笑った。

そして声は遠ざかっていった。
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