Last Prisoner 教師を愛した私
本当は学校をエスケープすれば、それなりに内申書にも響くだろうな、と思ったけれど、私も学校にいたくない心境だったので、二人でそろって学校を早退することにした。

先生に早退届を出しに職員室に行くと、先生は、
「二人そろって早退か」
と苦笑いしていた。

「変なもんでも食ったんだろ、川崎」

「先生ずるーい。舞にはそういうこと言わないくせに。やっぱり舞は彼女だから?」

と小さな声で先生に耳打ちした。

先生はらしくないほど顔を真っ赤にして、

「あほっ。そんなことあるか」

とマサミの頬を指でつまんだ。

マサミはあははははと笑い、「図星ー」と判子の押された早退届を先生の手から奪い去り、

「行こう、舞」

と駆け出した。

私は先生と顔を見合わせ、笑いあうと、

「じゃあ、気をつけて帰るように」

「はい、失礼します」

といかにも先生と生徒、というフリをして別れた。


私とマサミは子供みたいに手をつないで学校から駆け出した。

風にマサミのスカートが翻って、ゆらゆら揺れている。

「まーいーっ」

「んー?」

「これから行くところについてきてくれるー?」
「いーよっ」
< 94 / 96 >

この作品をシェア

pagetop