平凡な私の学園生活
side七瀬

「お前はお前の好きに生きろ。どうせお前も、この家の人間だ。この家の血がお前には流れている。未来は変わりはせん。それほどに厄介なモノだ。まぁ、私もそうだったからな。ただし、その名字だけは捨てていけ。」


そう、父親に言われたのは何時のことだったか。

そんなわけがないと思っていたのは何時のことだったか。

あの目を視た時、その名を聞いた時、こんなにも近くにいたのかと、やはりいたのかと、俺は歓喜した。

血はざわめき、愛情とは違う何かが俺に彼女を守れと命令する。

あのお方達から守り抜かなければならない。

決して見付かってはいけない。

見付かれば全てが無駄になる。

あの方のしてきたことが、何の意味もないものになってしまう。
 
そうして俺は、再び俺の本当の名字を思い出し、笑った。

  


あぁ、こういうことだったのか。

もう、抗いはしない。

いや、見つけてしまった以上、抗う事など出来るはずもない。

成る程。これは確かに厄介なモノだ。


< 33 / 45 >

この作品をシェア

pagetop