悲しみの涙を
「こっちに来い」


男の人は私の腕を掴み屋敷のある一室に連れて行き、私を部屋に押し込んだ


「そろそろ答えてもらおうか。さもなくば…」


そう言って刀に手をかけた


「こ、答えます!答えますから!」


慌てて言うと男の人は胡座をかいて座ったので私も少し離れて向き合う形で正座した。

「名はなんだ?」


「岸本天望(そらみ)です。年は17です。」



男の人は私を探るように見てくる。


「長州の間者か?」


間者って確か密偵のことだよね



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