教師なんて…
『帰り、送ってく』
小さな声で先生は呟いた。
「いえいえ、大丈夫です。
一人で帰れますから」
まだ夜の10時半。
普通の女子高生なら親に心配されるかも
しれないが、私は違う。
今まで夜道に危ない目に遭った
事もない。
『女の子がこんな時間にウロウロ
していたら危ないよ。送る』
今日の先生はちょっと頑固そうだ。
なんとなくだけど……。
『腹ぺこだから帰りにファミレスでも
行かない?』
「え!?先生と一緒に行ったら
問題でしょう?」
私は先生がまるでなんとなく発した
一言に驚きを隠せない。
だって教師だよ。もし誰かに見られたら……。
『心配することないよ。
俺、夜間教師だから顔が知られていない。
それにバレたところで生徒指導とか
なんとか言えば問題ないから。
結構多いんだよ。女子高生とファミレス
行って話ししたり。
まぁ、専ら若い子とはそんなに行く事
多くないけどね』