教師なんて…




ペロリと定食を平らげた先生だけど、



私は定食のボリュームに戸惑っていた。



どうしよう、こんなにも食べられないよ……。




『そんなに小食だから痩せてんだぞ』




そういうと、先生は私の前にあるお盆を



自分の方に持ってきて、私の残りを



食べてくれた。





『俺、誰かと飯食ったの久し振り!』




食べ終わってドリンクバーのコーヒーを




飲みながら先生は嬉しそうだ。





「私もです」




もっとも私が家族と食卓を共にした



経験なんて数える程しか無いんだけどね。





『こうやって誰かと食うっていう小さな


幸せを忘れかけてた』




ちょっぴり寂しそうな顔をした先生に




何故か私は守りたいみたいな?



よく分からない母性本能にくすぐられた。






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