教師なんて…
『ここ、俺んち。
お嬢様どうですか、庶民的の家は』
クスクス笑う先生だったけど、
「十分です。私あの家気に入っていないので」
そう言って家の中に入ろうとして、
気付いた。
もしかして、私男性の家に泊まるの?
えっと……。
先生は何か察してくれたのか、大丈夫だよ。
といって、スタスタと中に入っていって
しまった。
気が動転していて先生が男性とか
考えてもいなかった。
私のことはただの生徒としか思って
ないだろうし、多分大丈夫!
覚悟を決めて、家の中に入る。
「お、お邪魔します……」
小さな声だったけど、ちゃんと聞こえていた
ようだった。
『どうぞ』
一歩足を踏み入れると、綺麗に片付けてある
1LDKのモノトーンで統一感のある
リビングが見えた。
『何か飲むか?ていってもコーヒー
とココアくらいしかないけど』
荷物を適当に置くように言うと、
先生はキッチンへと行った。
私は廊下の隅に荷物を置かせてもらうと、
ちょこちょことキッチンの中に入って行った。
『お!どうした?』
「あの……」
どうしよう、まさか用事もないのに
1人でいるのが嫌だったとかそんなこと
言えない。
『じゃあ、コップ選んで。
棚の中に入ってるから』
きっと気付かれたのかもしれない。
私の気持ち……。
気付かないふりをしてくれた?