彼の瞳に独占されています
◆彼が戦闘服を脱いだとき
インターホンが鳴り、玄関でサンダルをつっかけた私は、相手が誰かも確認せずにガチャリと鍵を開けた。
「はーい」と言いながら開けたドアの向こうに立っていたのは、宅急便のお兄さん……ではなく、黒いTシャツにジーンズのラフな姿の男。
予想と違っていて一瞬脳が混乱し、ぽかんと口を半開きにしたまま固まる。
「何のためらいもなく開けるなよ、不用心だな」
少しだけ驚いたように目を丸くした彼は、すぐに整った眉をひそめてそんなことを言う。そこで、ようやく私は自分のピンチに気がついた。
なんで淳一が来ちゃうのよ! 服装も気持ちも、何もかも思いっきり油断していたこの時に!
「えっ、な、なんで!? 何しに来たの!?」
「ちょっと積もる話をしに」
挙動不審になる私の前を横切り、彼は「お邪魔しまーす」と我が物顔で部屋に上がり込んでくる。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
もう何回も来ているし、今さら遠慮なんてしないから、淳一がこうやって入ってくるのも仕方ないこと。
けれども、こっちは今までの男友達みたいな感覚ではいられない。もうすっかり恋する乙女なのだ。
好きな相手を、しかもこんな時間に部屋に上げるなんて、抵抗ありまくりなんだからね!?