彼の瞳に独占されています
「まぁ座れよ。ほら、お前の好きないちごミルクプリン」

「わぁ、ありがと! ……って、そんな簡単にはつられないわよ!」


昔から大好きな淡いピンク色のプリンに飛びつくようにして、言われた通り彼の斜めの位置に座る。けれど、すぐにノリツッコミみたいなリアクションをする私。

淳一はクスクスと笑っているけど、危うくご機嫌取りに引っかかるところだったわ。

悠長にプリンなんて食べている場合じゃない。ちゃんと言っておかなくちゃ……もう気軽に家に来てもらっては困るということを。

私はあなたを、男として意識してしまっているのだから。


「ねぇ……こうやって急に家に来るの、もうやめてくれない?」


なんとなく正座をして、遠慮がちに言った。

すると淳一の顔が、すっと音を立てるかのようにして無表情に変わる。そして、抑揚のない声で一言返してくる。


「なんで?」

「なんでって、それは……」


彼に嫌な想いをさせずに伝えるにはどうしたらいいか、視線を下に向けながら考えを巡らせて黙り込んだ、その時。


「本気で好きなヤツができたから?」


わずかに低く、冷たくなった声が投げかけられて、心臓がドクンと大きく動いた。

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