彼の瞳に独占されています
す、鋭い……。目を泳がせて動揺してしまう、わかりやすい自分が恨めしい。

案の定、淳一は私の反応で当たりだと悟ったようで、口元にだけうっすらと笑みを浮かべる。


「図星だろ。ちょっと前から様子がおかしかったのはそのせいか」


そういえば、永瀬さんに告白された頃も、淳一はすぐ私の変化に気づいていたっけ。やっぱり、この人に隠し事はできないかもしれないな。

もう、思い切って言ってしまう? 本気で好きなのは、あんたなんだよって──。

散々悩んでいたけれど、難しいことを考えるのはなんだかどうでもよくなってくる。私は膝の上で揃えた両手をぐっと握り、意を決して口を開く。


「……そうだよ。ようやくわかったの」


鼓動が早まるのを感じながらしっかり認めると、ゆっくり目線を上げた。

人一人分くらい開けた距離には、なぜか沈痛そうな面持ちをした淳一がいる。けれど、その瞳には強く熱いものを感じて、さらに胸がざわめく。

彼がどんな心境で、何を思っているのかまったくわからず、少し怖じ気づいてしまう。


「……ていうか、淳一はこんな時間に女ひとりの家に来るって、私を何だと思ってるのよ! 私だって、一応女なんだからね?」


あぁぁ、今想いを伝えればよかったものを、口が勝手に……! しかもなんで喧嘩腰になっちゃうのよ!?

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