彼の瞳に独占されています
戸惑う私の言葉を遮り、きっぱりと口にされた三文字。

彼の口から放たれたその言葉の威力は、私の息の根を止めてしまいそうなほど。

目も口も開いたまま硬直する私に、少し表情を緩める淳一が、声も同じように柔らかくして続ける。


「高校時代も、今も。恋愛は失敗してばっかりで、天真爛漫に人のこと振り回して。……でも、なんだかんだ言いながら、ずっと俺のそばにいてくれた萌が好きだ」


再び伝えてくれた気持ちが、じんわりと心の奥まで浸透していった。

瞳には熱いものが込み上げて、目の前の整った顔がゆらゆらと揺れる。


「……本当、なの?」


震える声で確かめると、淳一はおもむろに私の手を取り、自分の胸に近づける。

触れた彼の胸は、私と同じくらいドキドキと早いリズムを刻んでいて、緊張しているらしいことは明らかだ。


「わかる?」


照れたような、困ったような笑みをふっと浮かべる彼に、私はこくこくと頷いてみせる。

まさか、淳一も同じ気持ちだったなんて……。私たち、ずっとすれ違っていただけだったの?

信じられない想いで彼を見つめたままでいると、再び真剣な眼差しを向け、力強い一言を放つ。


「ほかの男のところになんて、二度と行くな」

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