彼の瞳に独占されています
ちょっとした女扱いをされただけで、現金な私は一気に夢見心地になる。……けれど。


「大丈夫だよ。俺はどんなお前も好きだから」


続けて言われた甘いセリフで、さらにとろけてしまいそうになった。

おバカな私のことを、こんなふうに受け入れて、愛してくれる人が、本当はずっとそばにいたのだ。

そのことにまったく気づかなかった自分を殴ってやりたい気分だけど、でも……私は幸せ者だと改めて思う。

しっかりと彼の身体を抱きしめ返すけれど、すぐにそっと離された。前髪が触れ合うほど近くで、ふたつの瞳は情熱的に私を見つめる。


「もう昔みたいに我慢する気ないけどいいか?」


色気のある低い声で問われた意味を理解すると、また心臓が飛び跳ねる。

もう友達という制限に囚われなくていいんだから、どうされたって構わない。もっと、女の私を求めてほしい。

欲情を隠せない自分がものすごくふしだらに思えるけど、これが正直な気持ち。


「……我慢なんて、してほしくない」


熱が集まる顔を俯かせつつ、ぽつりと呟いた。とっても恥ずかしいけど、淳一にはこんなことも言えてしまうんだ。

彼はくいっと私の顎を上げ、妖艶な笑みを浮かべて甘い声を紡ぐ。


「十年分、愛してやる」

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