彼の瞳に独占されています
「でもあれは暗黙の了解みたいなもので、明確な規則があるわけじゃないからな。俺も問題起こすなんてこと絶対ないって言い切れるし、大丈夫だよ」


力強い声に、少しほっとさせられる。

淳一はそんなに浅はかな人ではないし、もちろん私も仕事中にいちゃついたりする気はない。これまでのように、うまくやっていってみせる。


「……私、何があっても、もう離れる気はないからね。淳一しか好きになれないから」


彼の瞳を見つめて、揺らがない意思をすんなりと口にした。

どんな試練があろうとも、私は彼を選ぶ。高給取りなんかじゃなくても、人並みにお互い働いて、人並みにデートして、ふたりでささやかに生きていければそれでいい。

彼が戦闘服を脱いでいる今、それを確かに感じるのだ。

職種や肩書き、十年来の友達関係……そういう付属品を取っ払っても、ありのままのこの人が好きなのだと。


ふわりと微笑んでみせると、キョトンとしていた淳一は、すぐに嬉しそうに笑う。そしてその笑みは、いたずらっぽく変化し……。


「それって、一生そばにいてくれるってこと?」


そんなことをさらっと問いかける。

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