彼の瞳に独占されています
あぁ、反すうしてみればそう言ったも同然か……。

なんだか恥ずかしくなってきて縮こまるけれど、今さら取り繕う必要はない。


“そうだよ”と言おうとして口を開きかけたものの、「待て」と言う淳一の人差し指が、唇にちょんと触れた。

口をつぐんで目をしばたたかせると、彼は口元をほころばせる。


「やっぱり俺からちゃんとプロポーズするから、答えはその時に聞かせて」


甘い一言に、胸がキュンと鳴く。

彼との明るい未来は、きっと約束されている。その嬉しさで笑みがこぼれるけれど、照れ隠しで茶化してしまう私。


「プロポーズするって宣言しちゃったら、それがもはやプロポーズなんじゃないの?」

「んなことないだろ。ちゃんといろいろ用意してやるから」

「ふふ、じゃ楽しみにしてる。あ、別に給料三ヵ月分とかじゃなくていいからね。ほんと、全然」

「……今のはフリ? フリなのか?」


狭いシングルベッドの上で、いつものように冗談を言って笑い合い、またキスをして、抱き合う。

私たちの関係が変わっても、こういうところはずっと不変であってほしい。

心も裸にして、ありのままの姿で、これからもお互いを愛していこう。





  .+゚*。:゚+◇End◆.+゚*。:゚+.


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