彼の瞳に独占されています
こうして遠慮なくモノを言ってくるのは、中学の頃からの友達である、朝倉 淳一(あさくら じゅんいち)。

腐れ縁というか、中学から高校まで六年間クラスも一緒で、その頃から今までずっと連絡を取り続けている唯一の男友達だ。

何でも言い合える私達は、本当に仲が良い。“男女の友情は成立しない”とよく聞くけれど、私達は例外だと思っている。


今も、女友達にではなく淳一に愚痴をぶちまけているのは、無意識に彼に電話を掛けてしまっていたから。

容姿は結構良い方で、イケメンの部類に入る淳一は昔からモテているけど、今はおひとり様だから、こうやって私の愚痴に付き合ってくれるのだ。

そんな、根っこは優しい淳一は、真面目な口調に戻って言う。


『でも、早めに別れられてよかったじゃん。相当遊んでるだろ、そいつ』

「まぁね……。結婚相手も気の毒に」


嫌味がこぼれてしまったけど、もしかしたら結婚するなんていうのは嘘かもしれない。ただ、私に飽きただけだったのかも。

大きなため息を吐き出し、また缶ビールに口をつける。

どうして気付かなかったんだろう。連絡が来なかったり、ドタキャンされたり、おかしいと思うところはいくつもあったのに。それだけ盲目だったということか……。

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