彼の瞳に独占されています
でも、それだったら私に言ってくれるはずだけどなぁ、と首を捻っていると、弥生ちゃんはぱっと顔を上げて話を変える。


「それより、聞きましたよ。この間迷惑な酔っ払いが来た時、先輩絡まれたらしいじゃないですか!」


弥生ちゃんの事情を考えるのは一旦やめて、先週のあの出来事を思い出し、渇いた笑いをこぼす。

そういえば、お互い忙しくてまだ話していなかったんだった。


「そうそう。びっくりしたわ、ほんと」

「淳一さんが助けてくれたんですよね? コロッケ屋のおばちゃんが言ってましたよ! 羨ましい~」


お祈りをするように両手の指を絡ませて組み、うっとりする弥生ちゃん。

一部始終を見ていたあの店員さんと話していたのか……。私は焼いた食材をお互いのお皿に取り分けながら、ぎこちなく笑った。

弥生ちゃんは、さらに目をキラキラと輝かせて続ける。


「しかも、『俺の女に手出したらタダじゃおかねーぞ』的なこと言ってたんでしょう!? もう恋愛フラグ立ってるじゃないですか~!」


えぇー……なんかちょっと脚色されているよ。

私は脱力しながら、興奮気味の弥生ちゃんに間違いを訂正する。

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