彼の瞳に独占されています
心の内を吐露しながら、自分自身と向き合う。
上辺だけじゃなく、心の底からの愛情がなければ、男女関係はうまくいくはずがないということを、本当はちゃんとわかっていたはず。
それなのに、どうして気づかないフリをしていたのか、それは──。
「じゃあ、これまで付き合った男は、皆たいして好きじゃなかったってことか?」
考えを巡らせていると、淳一が問い掛けてきた。片膝を立てて座る彼の視線は、まだ海に向けられたまま。
責めるでも、呆れているでもなく、淡々とされた質問に、私は苦笑混じりに「そうなるね」と答えた。
これまでたくさん淳一に相談してきたというのに、そのどれもが本気の恋じゃなかったなんて、呆れられて当然だと思うけれど。
しかし、次に彼の口から飛び出したのは、思いもよらない一言。
「俺のことも?」
ドクン、と心臓が大きく波打った。
海からこちらへと移された、真剣な眼差しに捉えられて、私はまばたきすらもできなくなる。
動けずにいると、淳一は「……って、聞くだけ野暮だよな」と、口元に笑みを浮かべて冗談っぽく言った。
なぜ彼がこんなことを言うのかというと──私たちは、一度付き合ったことがあるから。
高校二年の春から半年ほどの間、私たちは一応恋人という関係だったのだ。
上辺だけじゃなく、心の底からの愛情がなければ、男女関係はうまくいくはずがないということを、本当はちゃんとわかっていたはず。
それなのに、どうして気づかないフリをしていたのか、それは──。
「じゃあ、これまで付き合った男は、皆たいして好きじゃなかったってことか?」
考えを巡らせていると、淳一が問い掛けてきた。片膝を立てて座る彼の視線は、まだ海に向けられたまま。
責めるでも、呆れているでもなく、淡々とされた質問に、私は苦笑混じりに「そうなるね」と答えた。
これまでたくさん淳一に相談してきたというのに、そのどれもが本気の恋じゃなかったなんて、呆れられて当然だと思うけれど。
しかし、次に彼の口から飛び出したのは、思いもよらない一言。
「俺のことも?」
ドクン、と心臓が大きく波打った。
海からこちらへと移された、真剣な眼差しに捉えられて、私はまばたきすらもできなくなる。
動けずにいると、淳一は「……って、聞くだけ野暮だよな」と、口元に笑みを浮かべて冗談っぽく言った。
なぜ彼がこんなことを言うのかというと──私たちは、一度付き合ったことがあるから。
高校二年の春から半年ほどの間、私たちは一応恋人という関係だったのだ。