彼の瞳に独占されています
しばらく海を眺めた後、ちょうどお腹がすいた私達は、淳一オススメのラーメン屋さんに寄った。
予想通り彼のチョイスにオシャレさは皆無だけど、ラーメンは本当に美味しかったし、こういう気を遣わずに入れるお店も私は好きだから、何の文句もない。
ありがたくおごってもらい、すっかり暗くなった空の下、再びバイクに跨がった。
淳一の腰にしっかりと抱きつき、涼しい風を感じながら、夜空にきらめく星を見上げる。
……初めてじゃない、この景色。高校時代も今と同じように、彼の後ろで夜空を見上げていた。
私達が友達の関係に戻ってから数ヶ月後の、卒業後の進路をどうするか決める時期、淳一の自転車の後ろに乗って、ふたりで帰っていた時のこと。
『星がきれーい! やっぱり田舎はいいよねぇ』
濃紺の澄んだ空に大きな三角形を作る星を見上げて、のんびりした声を上げた。そんな私に、そよそよと無造作な髪を揺らす淳一が問いかける。
『萌は都会行かねーの?』
『行かないよ、お金ないし。淳一は?』
『俺もここが好きだから離れる気ねぇ』
何もないところだけど、地元を愛している淳一に笑いつつ、彼もここに残るのだと知って内心嬉しかった。
すると彼は、穏やかな口調でこんなことを言う。