その羽根を僕にください
「そっか、嬉しい」

そんな言葉に少し苛立って

「何が嬉しいの?
僕、全然嬉しくないよ」

思わず怒りをぶつけてしまった。

だって、僕。
こんな事になるなんて思ってもいなかったし、生きていれば新しい命にも出会えたんだ。

キラキラ光る真由ちゃんの下腹部にそっと手を当てた。

何となく、暖かい。

そう思ったら自然と涙が流れていた。

「…その暖かさもわかるんだ」

20はその大きな瞳を閉じて、穏やかな日差しを浴びながら微笑む。

「拓海は…前と比べたら随分成長したわ。
周りの人にも恵まれたのね」

「20、僕は君が言っている事が全然理解出来ないよ」

真由ちゃんの下腹部から手を離して僕は自分の手を見つめる。

僕の手までキラキラしている。

「…会いたかったよ」

まだ見ぬ我が子にそっと呟いてその手を握りしめる。



無事に生まれて、赤ちゃんの君を…
この手で抱っこしたかった。



握りしめたその手を開くとまだぼんやりとした光があった。
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