その羽根を僕にください
一瞬、触れただけなのに膨大な情報が頭を駆け巡る。
そのほとんどが、辛い記憶だった。
自分が生きてきた今生がいかに恵まれていたか。
それでも、それぞれの時代を生きていた20は輝いていた。
絶望的でもどこかに希望を見出して必死に生きていた。
そして。
その時々に僕がいた。
兄弟姉妹だったこともあり、親子だったことも。
ただの友達の時も。
恋人だったり、夫婦だったり。
20は額を離して優しい目で僕を見つめる。
「私、あなたと過ごした時代はほんの一瞬だけでも楽しかった。
今回は…あなたが生きた時間が短すぎて会いに行けなかったけれど。
またいつか、会いに行くわ」
20は最後に思いっきり僕を抱きしめた。
「次、会った時は必ず思い出してね。そして微笑んで欲しいの」
「もちろん」
僕が頷くと20は嬉しそうに笑った。
「あ、そろそろね」
20が見つめている方向を見ると病院のLDRでは今、まさに子供が産まれそうな状態の淡路さん。
それを医師としても、父として夫としても見つめている透。
「じゃあね、拓海。
いや、21、私の片割れ。
またお互いが成長したら、一つになろう。約束」
20は僕の額にキスをした。
それからの記憶は…
そのほとんどが、辛い記憶だった。
自分が生きてきた今生がいかに恵まれていたか。
それでも、それぞれの時代を生きていた20は輝いていた。
絶望的でもどこかに希望を見出して必死に生きていた。
そして。
その時々に僕がいた。
兄弟姉妹だったこともあり、親子だったことも。
ただの友達の時も。
恋人だったり、夫婦だったり。
20は額を離して優しい目で僕を見つめる。
「私、あなたと過ごした時代はほんの一瞬だけでも楽しかった。
今回は…あなたが生きた時間が短すぎて会いに行けなかったけれど。
またいつか、会いに行くわ」
20は最後に思いっきり僕を抱きしめた。
「次、会った時は必ず思い出してね。そして微笑んで欲しいの」
「もちろん」
僕が頷くと20は嬉しそうに笑った。
「あ、そろそろね」
20が見つめている方向を見ると病院のLDRでは今、まさに子供が産まれそうな状態の淡路さん。
それを医師としても、父として夫としても見つめている透。
「じゃあね、拓海。
いや、21、私の片割れ。
またお互いが成長したら、一つになろう。約束」
20は僕の額にキスをした。
それからの記憶は…