その羽根を僕にください
「いいの、0?」

1が私に聞いてくる。

「良いも何も。
20が自分から戻りたいと言ったんだ。
ここにいれば苦痛な事も何もないのに、わざわざそれを選んだ。
苦しい事があっても、21に出会うだけで。
その苦しさが消えるんだよ20にとっては」

20は若い父親の元に送った。
本当に若くて頼りない。
でもね、魂が綺麗なんだよね。
21に近いかも。
20が生きる事でその父親は頑張るんだよ。
きっと、彼は。
大きなことをやり遂げる。
それを支えてあげなさい。

21にも関係のある事だから。

「でも、どうして20は男性にしたの?
タイプ的には女性的なのに」

「なあに、簡単な話だよ」

私は1を見つめて微笑む。

「21が女性で生まれたから20は男性。
きっと二人が出会えば強烈に引き合う。
…ただ、二人とも近いところにはいてるのだが、しばらくは会わないようにしてある」

少しだけ、悪戯的な運命を描いて。
二人を送り出した。

チャンスをモノにして出会うんだよ。


チラッと下の方を見た。

皆に相変わらず愛されているな21。
…いや凛か、今は。

産まれたばかりの20は…
若い父親とそれよりちょっと年上の母親。
生活もしばらくは大変だと思うが、上手く回るようにはしておいた。
20、頑張れ。
…ああ、まだ名前、決まってなかったのか。

またしばらくしたら、様子を見てみるか。



心地よい風が舞い上がる。

二人に幸多き事を願いながら、私はここから高みの見物を。

また別の機会にでも、その話をしようではないか。
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