その羽根を僕にください
「もう〜!」

20は頬を膨らませて僕の額を叩いた。

「ばかー!」

更に平手で頭まで。

「…一体、何なの?」

僕の言葉に20はキッ、と目を見開いて、

「人間でいう時間の16時間ほど前を振り返りなさい!」

…昨日の、夕方?

僕は意識を集中させた。



その瞬間。

体に異変。

妙な胸騒ぎとあの、感覚。



「あ…」

僕は20を見た。

その表情は怒り狂っている。

「思い出した?」

うん、勿論。

僕は頷く。

「もの凄い勢いで…。
細胞達がざわめいているわ」



そうか…。

じゃあ先日見た、あの夢はやはり予知夢…。
あの手紙、半分冗談で書いたのにね。
結局、僕は回収出来なくなってしまった。

「その子…女の子だよね」

泣き続ける真由ちゃんを見つめて僕は呟く。

「…まさか、見えてるの?」

20、そんなに驚かないでくれよ。

「いや、僕には何も。
ただ、数日前に僕が12月25日に死ぬ、と言った女の子の夢を見たんだ。
…多分、その子がお腹に宿ろうとしているんだね」

そう言って僕は天上を見上げた。

…ひょっとして、会えるかも。
なんて淡い期待は期待外れに終わった。
この空間には僕と20しかいない。
他の気配は全く感じられない。



「…そうなんだ。
拓海もそうなんだ」

今度は一人で納得し始めた20を見て、女の子ってよくわからない、と思ってしまった。
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