その羽根を僕にください
「本当に男ってヤツは子孫を残そうとする本能が強いのか、何て言ったら良いのか」

20は急に大の字になると後ろに倒れた。

倒れた、といっても美しいその虹色の羽根が体を包み、クッション代わりになる。

艶々の髪の毛が心地よい風に靡いていた。

「…あの子は多分。
みんなを幸せにしてくれるよ」

泣きじゃくる真由ちゃんを僕はぼんやりと見つめている。
悲しい、という感情は不思議となかった。
淡々と見つめている僕がここにいる。

「じゃあ、その子は拓海が死ぬの、わかってたんだ」

20の発言に僕は頷いた。

「僕に24日はバイクを乗らないで欲しい。
…子供を作るような事も」

妙に明るい天を見上げる。
光が眩しい。

「そう言われた。
…でも、死ぬ運命が変わらないなら。
僕は自分のやりたい事を貫く。
彼女にはそう伝えたんだ」

チラッと20を見る。
彼女は切なそうに僕の顔を見つめていた。

「…そう。
拓海はそういう考えをこの18年で見つけてくれたんだね。
私もその考え、大好きよ」

20は体を起こして僕を見つめて微笑んだ。

「やらずに後悔するならやって後悔した方がマシ。
やらなければずっと後々引き摺るし」

僕もその場に寝転ぶ。
この空間、やけに心地よい。
あまりにも気持ち良いので少しだけ、目を閉じた。
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