ポプリ
「ふうう、危ない危ない、小さくなれて良かったぁ~」

 側溝から抜け出した豆太郎は、また人間の姿に戻り、今度は『ゴミはゴミ箱に』というポスターを作製。

「ようし、これで冬樹様の仕事が減りますね」

 その絵は幼稚園児並、かつて究極超人をメロンと辱めた、碧色のドラゴン並に拙いイラストだった。

 それでも豆太郎は自分の描いたポスターを眺め、満足そうに笑みを零している。そこに声がかかった。

「豆ちゃん、豆ちゃん」

 中庭の隅の方から、白い着物姿の女性が手を振っている。

「ぴゃあっ、雪菜様!」

 見つかってしまって驚いた豆太郎の頭には茶色のまあるい耳、お尻からはふさふさの尻尾が飛び出す。

「お掃除ご苦労様。いつも冬樹と一緒にやってくれてありがとうございます」

「いっ、いえ! 僕は何もしていません、何もしていませんよ!」

「うふふ、手と顔が汚れていますよ、ウチで洗っていってください。その後でお茶でもいかがですか?」

「そんな滅相も無い! 防人様の留守中に奥方様お一人のお宅へお邪魔するなどっ!」

「豆ちゃんの大好きな豆大福もあるんですよ~」

「うわあ! いただきますっ!」

 ……チョロイ、豆狸。



 そんなこんなでお茶と大福を食べているところに冬樹が帰宅。

「僕などがお邪魔していてすみません!」とかなんとか畏まりつつ、みんなで和やかに大福を食すのであった。



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