ポプリ
 現在の天神学園において恐らく最強であろう臥龍を鬼とした、『本当に怖い豆まき大会』が催されている天神学園体育館にて、エアガンを手に因縁ある者同士が鉢合わせしていた。

「ややっ、貴方は竜河巻之介(たつかわ まきのすけ)さん!」

「むっ、てめぇは佐貫豆太郎!」

 一方は短髪優顔、ひょろひょろもやしっ子の佐貫豆太郎。

 一方は色黒つり目、ひょろひょろだけど細マッチョの竜河巻之介。

 この二人には因縁があった。

 豆太郎は佐伯の雪女に仕える豆狸、佐貫一族の頭領。

 巻之介は鴉丸の鴉天狗に仕える河童、竜河一族の頭領。

 現在は一応友好関係にあるものの、かつて主たちが血で血を洗う争い(主に小雪と飛燕が)を繰り広げたことは拭い去れない事実であり、豆太郎はもとより、鷹雅の代からの新参子分、巻之介たちにも少なからず遺恨を残している。

「ここで会ったが百年目ええええ!」

 まずは喧嘩っ早い巻之介がエアガンを撃ちまくる。

「ぴゃあああああっ、なっ、何をするんですかああああ、鬼さんはあちらですよおおおお!」

 対する温厚な豆太郎は巻之介からスタコラサッサと逃げる。

「逃げんのかよこの臆病者がぁ! まあ、主が腑抜けの佐伯じゃあ、しょうがねぇかぁ?」

 ケケケ、と笑う巻之介に、豆太郎は頬を膨らませて振り返る。

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