ポプリ
自分の教室に入ると、席に座っていた杏色の髪の少年が、ぴょこんと跳ねるように立ち上がった。
「おはよう花龍!」
「おはよう、シオン」
「花龍、はい!」
シオンが両手を花龍に差し出し、笑顔で待っている。その動作に花龍は首を傾げた。
「……ん?」
「ん?」
シオンも首を傾げた。そのまま二人で首を傾げること数秒。
「あ、花龍ちゃんおはよう~」
「おはよう」
「チョコ持ってきたぁ?」
「うん、これ、あげる」
他のクラスメイトに声をかけられて、花龍はその子たちと友チョコ交換を始めた。
「……ん?」
シオンは笑顔のまま首を傾げている。
一時間目の休み時間。
初等部一年の教室を覗くと、女の子がきゃあきゃあ言いながら一人の男子児童に群がっていた。
「七音くん、これチョコ!」
「私のも食べて!」
「私のは某有名店のだからとってもおいしいよ!」
「ぼ、僕からも友チョコをどうぞ……」
「私からも!」
群がるクラスメイトや他学年の児童たちに困ったそぶりも見せず、愛想良く微笑んでいるのは鳴海七音(なるみ なおと)。入学当時からその美貌と笑顔と家柄で人気を博している、花龍のもう一人の幼馴染だ。
「やあ、みんな、ありがとう。僕のために用意してくれた心の篭ったショコラ、大切にいただくね」
サラサラの黒髪を揺らし、キラリと輝く笑顔を見せれば、あちこちから悲鳴が上がった。
その様子を見ていた花龍は、七音も近づくのが大変そうだから後で渡そう、と踵を返す。
「おはよう花龍!」
「おはよう、シオン」
「花龍、はい!」
シオンが両手を花龍に差し出し、笑顔で待っている。その動作に花龍は首を傾げた。
「……ん?」
「ん?」
シオンも首を傾げた。そのまま二人で首を傾げること数秒。
「あ、花龍ちゃんおはよう~」
「おはよう」
「チョコ持ってきたぁ?」
「うん、これ、あげる」
他のクラスメイトに声をかけられて、花龍はその子たちと友チョコ交換を始めた。
「……ん?」
シオンは笑顔のまま首を傾げている。
一時間目の休み時間。
初等部一年の教室を覗くと、女の子がきゃあきゃあ言いながら一人の男子児童に群がっていた。
「七音くん、これチョコ!」
「私のも食べて!」
「私のは某有名店のだからとってもおいしいよ!」
「ぼ、僕からも友チョコをどうぞ……」
「私からも!」
群がるクラスメイトや他学年の児童たちに困ったそぶりも見せず、愛想良く微笑んでいるのは鳴海七音(なるみ なおと)。入学当時からその美貌と笑顔と家柄で人気を博している、花龍のもう一人の幼馴染だ。
「やあ、みんな、ありがとう。僕のために用意してくれた心の篭ったショコラ、大切にいただくね」
サラサラの黒髪を揺らし、キラリと輝く笑顔を見せれば、あちこちから悲鳴が上がった。
その様子を見ていた花龍は、七音も近づくのが大変そうだから後で渡そう、と踵を返す。